2023年8月〜八ヶ岳登山

久しぶり、八ヶ岳!

八ヶ岳に登ることにした。八ヶ岳は長いこと遠ざかっていて、20年ぶりくらいになる。

前に八ヶ岳に来た時に使っていた道具で、今もあるのは、まず小さな方位磁石(コンパス)だ。極軽量ではあったが、スマホでGPSが使えるのでもう使わなくなってしまった。保温ステンレスカップは今も使っている。ガスバーナーも健在だ。

今では、アンダーウェアとしてドライメッシュ的なもの(ファイントラック)を買い、その上に吸湿速乾的な薄いウェアを着る。

靴、レインウェア、ザックは去年、熊野古道に行くときに買い換えた。山道具の進化はとても速い。

古いポリタンクは何度も洗浄して消毒してたけれど使うのは止めて、アメリカ製のプラティパスを買い、クリアボトルを買った。

前日の夜から行って現地で仮眠するか、当日の朝早く出発するか。どうするかな。

第1日目

朝に出発することにした。7時出発。いい感じ。いい天気。

多摩川沿いを走る。金曜日で平日なので普段の道路混雑。休日とは異なる。

出発から1時間近くして、多摩沿線道路の川崎市布田のコンビニで、冷やし中華を買った。これが朝ごはん。朝の冷やし中華は、なぜだかとても元気が出るような気がするのだ。

これは中央高速のパーキング、境川PAである。

10年くらい前にユニクロで買ったTシャツを着ている。ちょっと運動っぽいことをしてもいいのよ的なTシャツ。ポリエステルでさらっとしていて快適だ。でこぼこした、いかにも撥水性能がありそうな感じの生地になのだ。

昔のユニクロ製品は今とは違う何かがあった。

ターゲットが見えてきた。中央高速140.8キロ地点。距離標識の上に見える、八ヶ岳を目指す。山の上には雲があるようだ。

ふもとから接近する。下界は良い天気である。この奥の方が八ヶ岳である。高山の周辺は雲が多い。それぞれの山の上にそれぞれの雲が張り付いている。

さて、昼ご飯を食べないと・・・。

と、周辺には何もない。コンビニを地図で調べて行って見たら、向かいにカフェがあった。

ランドリーと一緒になったカフェ。ホットサンドイッチを食べた。キャベツがぎゅうぎゅうに入っていて、熱々のトーストに挟んである。紙にくるんでから、紙ごと切るのが良い。ブリトーを思い出す。

 

さて、登山口に向かう。桜平駐車場へ向かう。

ここから登るのは初めてだ。美濃戸口から登ることが多かった。

舗装されていない山道で、登山口に向かう。ところどころ、轍(わだち)の深いところあり、上手く走らないと車の底をこすってしまいそうだ。

この道はGoogleマップには載っていない。駐車場の位置だけは載っているのだが、経路を案内させると全く異なる場所に誘導されてしまう。要注意だ。

道は狭くてところどころダートなのだが、突然駐車場が出現する。しかも想像をはるかに超えるとても立派な駐車場だ。

桜平駐車場という。下、中、上、と三つの駐車場がある。「下」は登山口まで歩いて1時間かかる。「中」は登山口まで5分程度登る。「上」は行ってないけれど、登山口までちょっと下るようだ。

ここは「中」の駐車場。12時45分頃到着した。

トイレはあるけれど、翌日見たら、水源の水が少ないということで、桶と柄杓があって、水をかけてくれということだった。近くの川は、水が豊富なのに不思議なことだ。

 

何だか、曇ってきた。気持ちが曇ると空も曇る。でも関係ない。

13時15分登り始めた。予定より30分ほど遅い。遅刻はいけない。

山荘には16時チェックイン予定であったが30分遅れて16時30分頃到着予定であると山荘にメールしたところ、「了解しました、お気をつけて・・・」との返信をいただいた。

木立、川、豊富な水。林道は歩きやすい。傾斜はそこそこある。

13時47分、夏沢鉱泉に到着。夏沢鉱泉のあたりは川の水の勢いが本当に強い。複数の沢からの水が集まってきている。

空気が重い感じで、ここは休まずに進む。

空は雲が厚くなってきた。空気がもっと重い。

オーレン小屋に着いた。14時34分。ここも休まずに進む。

 

木立の中を歩く。

本当に綺麗な木立の中を歩くことができる。日本にも美しい自然が本当にたくさんある。美しい自然は本当にありがたい。大切にしたい。

ここからは段差が出てきて、少し歩きにくくなってきた。

今日は時計を忘れてしまった。これはダメージが大きい。時々スマホを出して時間を確かめる。

スマホを出して時間を見たら、写真を撮る。写真を取ったら、時間を見る。何事も無駄にしないという気持ちで考える。

去年買ったミレーのザックには腰を覆うベルトの右側にスマホケースが付いている。マジックテープで止まる蓋が付いていて、大変に便利だ。

ミレーのザックに心から感謝しながら歩いていると、いつ着くか知れなかった夏沢峠にたどり着いた。15時4分。ここまではコースタイムからそれほど遅れてはいない。

雲に隠れて、硫黄岳はまだ姿を見せてくれない。ここは5分くらい休んでから出発。桜平からの出発時間が、予定していた時間よりも30分遅かったので、あまりゆっくりできない。

夏沢峠を越えて、しばらくすると北側の雲が切れて、青空が見えるようになって来た。

僕が移動したからと言うよりは、雲が動いているのか、じっとしていても雲が切れて来た。日差しが出て来た。お日様、ありがとうございます。

途中、こんな山が崩れている場所もあった。この辺りの地質の関係だろう。尾根道を通り抜けた。

これは南側の空。

夏沢峠は、八ヶ岳の硫黄岳山頂から北側のやや西寄りにある。東側の空気も見えてきた。

ちょっと湿度のある風が東側から吹きあがってくる。

これはさっき来た北側の空。上の写真で中央やや左に見えるのは夏沢峠の夏沢ヒュッテである。

ガレガレ(石がたくさんあるところ)を登る。石が動いて疲れるし、気が抜けない。瓦のような乾いた良い音がする。カラン、カラン。楽器にもなりそう。

頂上っぽく、見えるけれども、まだ硫黄岳の頂上ではない。ちょっと手前のコブだ。まだまだ頂上は見えない。頂上は全然まだ先。

早くもアキレス腱上、ふくらはぎ、太ももが痛くなってきた。

コブを越えたら、頂上が見えて来た。ケルンがいくつか見える。まだ結構な距離がある。

頂上まではまだあるけれど、頂上が見えたら、気持ちが明るくなった。見えるということはこんなにも気持ちを明るくすることなのか。

ゴールが見えない、答えが見えない、というのは辛い。けれど、「頂上が見えるんです!」

そこで、にっこりした気分になったので自撮りした。

 

景色が雄大で、どっちを向いても美しい山々。ああ、素敵。

そんなこんなで、あっちを向いたり、こっちを向いたり。写真を撮る手が止まらない。

進むべき道はこっち。

そして、進んでいくと、

やっと、硫黄岳の、いわゆる爆裂火口と言われるところに到着した。

そして、硫黄岳の頂上に到着した16時13分。ここまでの上りはしんどかった。

硫黄岳の頂上は、ガレガレの親分であるのだが、平坦でとても広い。

おきまりの感じで、記念写真も撮っておく。

硫黄岳からの、横岳、赤岳の景色だ。正面よりちょっと左が赤岳。

横岳と赤岳を背景にして、自撮りをする。

上の写真の、尾根の真ん中あたりにある山荘に、今日は宿泊予定。

今日は本当に良い天気に恵まれてとても幸せであった。

硫黄岳山荘。16時32分に到着。天気も良く、明るいうちに到着できて、本当にありがたい。

部屋は個室じゃないけど、カーテンで仕切ってある。一人ずつ、電灯とコンセントが付いている。8時の消灯までは、コンセントから電気が使える。当然、スマホの充電もできる。

1階は涼しいけれど、2階はちょっと暖かい。シーツ、枕カバー、布団カバーはセルフで翌朝にこの青い袋に入れることになっている。

山小屋の旧館の方を眺めると、風情のある少し懐かしい感じ。

さあ、ビール。本当に一瞬で飲み終わったしまうのだ。500円。

何だか、メニューはいろいろあるようだ。しかし、小屋の人は忙しいのでなかなか買えない。

おみやげも売っているようだ。夕食は6時とか6時半とかなので、忙しそうな時間で、カウンターには誰もいない。

だいぶ日も傾いて来たが、晴れた山は明るい。穏やかな夕方だ。

山荘から見る硫黄岳は、妙にまろやかで優しく見える。あんなに石がごろごろなのに。頂上の上にかかる月が白く光っている。

西の空は雲が賑やかだった。

暇なので、今度は日本酒。これも500円。これも一瞬で飲み終わってしまう。

ただ、この時は、埼玉から来たという山のベテランのYさんと話をして、楽しい時間を過ごすことができた。

彼は、小淵沢から赤岳・横岳を登ってそのまま北に縦走して、1泊目が硫黄岳山荘に宿泊。2日目は硫黄岳に登頂してから夏沢峠を経由して天狗岳から縞枯山まで行って、奥蓼科方面に行くそうだ。ピラタスのロープウェイがあるところだ。

この一年で、北・南・中央アルプスはもとより、北海道とか屋久島とかも行ったという。すごい。

まだ明るいけれど、山では夕ご飯の時間になった。夕食は18時30分の回だった。それよりも早い時間の人たちもいた。

こんな感じの食事である。

デザートもあった。気が利いている、というのか。

夜は、20時消灯。うとうとしたけど、23時頃目が覚めた。眠れなくなった。昭和や平成の頃の山小屋のように大きないびきをかく人もほとんどいない。

気になって23時半過ぎに外に出て見たら、雨が降っていた。それほど寒くもなく、気温は15度くらいだった。晴れているとまた別の楽しみもあるけれども、今日は雨なのでよく寝なさいということだ。

 

第2日目

朝は5時45分に起きた。

昨日のYさんは、5時には出ると言っていたので、僕が起きる前にもう出発したのだろう。彼は朝ごはんは無しでお弁当にしてもらっていた。昨日の夕食の時に受け取っていた。

朝ごはんは、5時40分か6時か選べて、僕は6時を選んだのだけど、部屋の隣の人が朝の身支度をしている音で起きることができた。寝坊しないで良かった。朝食も6時にしておいて良かった。

5時45分にはもうこんなに日が昇っている。

朝の美しい雲海の風景。

ああ、深い。曇って、不思議。

 

上を見ると、快晴。あまりに青くて宇宙みたいだ。

でも下を見れば地球。海と陸と雲と。

 

朝ごはんだ。6時5分。とても健康食。僕の年にも良い感じ。グレープフルーツが何か嬉しい。

トイレがまた綺麗である。

水洗トイレだ。きれいなトイレは30年前にも北穂高小屋だったかにあったような気がするけれど水洗ではなかったと思う。ここは他の山荘と比べて圧倒的に水が豊富だ。

トイレットペーパーは流しちゃいけない。でも全然臭わなかった。不思議だなあ。

朝の布団のぬくもり。布団はふかふかしていた。

シーツ類を剥ぎ取った後。

雲海で自撮り。〇〇うんかい? ちゃうんかい?

山小屋は容易に去りがたい快適さだ。全てを我慢する山小屋というのはあったけれども、何も我慢しなくても良い山小屋と言えば良いのか。

500円で温水シャワーも使える。どんだけ水が豊富なのか。これだけ頂上に近いところでどこから水を引いているのか。

高級ホテルならぬ高級山小屋なのだなぁと思う。値段も相応に高い。でもまた来ようと思う。

 

さあ、チェックアウトして、出発します。

朝の光で見ると、硫黄岳もちょっと違う雰囲気がある。快晴の空の下、空気がすっきりと澄んでいて光も影も力強い。

新しい雲ができている。午後は雨になるらしい。

この写真では、良い天気のように見えるかも知れないが、雲の切れ目が無いので平地では「天気は曇」だ。山を降りていくに従って、雲が厚くなって湿り気が出て雨っぽくなる感じが予想される。

天気は難しい。

昨日はとても良い天気だったけれども、一昨日(僕が登った前日)の昼は、山頂付近では強い雨が降ったそうだ。

7時に硫黄岳山荘を出発、周辺を散策した。夕方から天気が崩れるという予報があるので早めに下山することにした。

 

雲が目の前で突然現れる。

その雲が一瞬で消えて、また別の雲が現れる。ように見える。

 

ケルンが、何が別のものに見える。イギリスのドラマ「ドクター・フー」を見ていた人には、ダーレクに見えるかもしれない。

ケルンは、冬にも目印が壊れないようコンクリートで固められている。

 

再び、硫黄岳山頂。7時50分。

今日の硫黄岳山頂は、早朝からたくさんの人が登って来ている。今日は土曜日だ。

この岩を降りる。

降りたところ。

前日の上りのコースはガレ場だったが、今日の下りのコースは岩を降りる。ガレガレよりずっと良い。

天気も良く、風は弱くて、爽やかだ。何て気持ちが良いのだろう。

硫黄岳山荘の方から見えた、この斜めに崩れた砂漠。

そして、そことほぼ同じ場所がここ、分岐点。

この分岐点から、ふたたびオーレン小屋の方へ下りていく。

山頂の雰囲気。尾根のからっとした雰囲気は、この先あまりないかもしれない。

突然、森林限界ではなくなった。分岐点から尾根の北側におりるとすぐにハイマツが生えている。そこから10メートルも下ると、たくさんの木が生えている。

いきなりの植物。この道が無かったら全然進めないだろう。写真では虫がホバリングしている。じっと待っててくれてなくても良いのに・・・。

いきなりの林。

そして、いきなりの森。

きのこも生えている。まわりの草がキュート。

転倒

この辺りの下り道で急な段差を降りている時に、突然足を木の根に引っ掛けて転んだ。

その数分前に気になって、「ゆっくり、一歩ずつ・・」と警戒していたさなかだったので、ちょっと驚き、そして少し落胆した。

手に泥は付いたが、手だけだった。足は、後方の高さ60センチの段差の木の根っこにかかって、頭を下にして腕立て伏せ姿勢になっていた。本当にラッキーだった。

本当に、気を付けないと。

 

より一層、下りはゆっくりゆっくり進む。赤岳に登らずに下りてきたので、時間が早すぎてしまった感じで、もうちょっと硫黄岳山頂でゆっくりと雄大な景色を眺めたりしていれば良かった。

オーレン小屋。ここに昨日来た時も曇っていた。

ここまで来るともう歩きにくいところはない。下山完了はもうすぐ。

名前も知らぬ紫の花。

オーレン小屋からの八ヶ岳。少し雲が切れて、雲の隙間からお山が垣間見える。

深い森。豊かな水。綺麗な緑。木々も苔もみんな緑。

この苔が実に見事である。

ここも緑。石の上も緑。岩がすべて苔で緑になっている。

夏沢鉱泉を通過。今回は通過するだけだった。いつかはお世話に。

綺麗な森。ふかふかの苔。しいんと静かな苔の森の中にいると妖精が出てきそうだ。

麓まで降りて来た。林道も歩いて下ると傾斜がきつい。

山小屋でお弁当を作ってもらったけれど、赤岳の方へは行かずに短縮して戻って来たので、登山口まで降りて来て食べることになった。

とてもおいしかった。何というか、欲しいものがちょうどここにある、という感じがした。元気が出る。

麓まで降りた。とても、美しい長野の農村風景。

八ヶ岳の山登りは以上で完了。

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