早池峰山と花巻~2024年9月

早池峰山と花巻への旅

2024年9月。東京から車で花巻へ行って、早池峰山に登り、花巻の町を眺め、遠野市から三陸を抜けて帰京した。

1日目~花巻へ移動

東京を朝10時14分に自宅から出発して、荏原から首都高に入る。前の車は、救急車だ。救急車も首都高速を走るのね。

友部SAでお昼休憩。自宅から110kmくらい。ここまで2時間走った。(友部SAは水戸インターの手前9kmくらいの所で、茨城県の真ん中あたりなのだ。)

北関東っぽいラーメンだな。「麺や村里木」という。村里木と書いて、「むらさき」と読む。北関東的な「夜露死苦」を連想してしまう。

 

常磐自動車道に入った。常磐自動車道にも制限速度が120kmの区間があった。

 

福島県に入ると、何やら見慣れない標識が現れた。「放射線量」と題して、「この地域の放射線量」が「マイクロシーベルト/時」で表示される。数キロ置きに設置されていて、最初は0.1だったのが、順に0.2、0.3、0.4、0.5と上がっていく。

次はピークだろうと身構えていたら、「調整中」となっていた。iPhoneのカメラで表示された数字を撮ろうとしてもうまく写らない。(ここは調整中のところより前の写真)

Googleマップで後で見たら、最も福島第一原発に近づくのは常磐道ではこのあたりで、原子炉までの距離は6.22kmだった。

避難指示区域を横断する。

 

花巻市に着いた。駅に近い通りではあるが、水曜日の午後5時、人気(ひとけ)が全く無い。車もまばらだ。

 

花巻駅前の様子。新幹線が止まるのはここではなく、少し離れた新花巻駅だ。

 

ホテルにチェックイン。今日はホテルルートイン花巻に泊まる。大きな鏡があった。

 

ホテルからの眺め。見えないけれど、左後ろ側が花巻空港で、正面は花巻市中心地方向である。繁華街があるわけではないので特に明るくは見えない。

 

周囲には一切飲食店はないが、ホテルの食堂でご飯が食べられる。

まず、生ビール。

つぶがい?

串揚げ。

お茶漬け。

 

ちょっと外を歩いてみた。街灯がないので真っ暗になる。ホテルから5分も歩くともう完全に闇の中だ。

 

月が明るい。

ホテルの部屋に帰る。

おやすみなさい。

 

2日目~早池峰山に登る

ホテルで朝ご飯。

レタスとコーンのサラダ。定番のソーセージ、麻婆豆腐、シュウマイ、ポテトサラダ、ささみフライ(と書いてあったがチキンナゲットだった)、ご飯、オレンジジュース。

 

ホテル近くの瀬川。

この川は、ここから1.8km先でが北上川と合流する。その近くに宮沢賢治が「イギリス海岸」と名付けたところがある。今はダムの影響で川の石は水没して見えないという。

北上川は、大きくて堂々としていて底知れない力を感じさせる。とても素敵な河である。時間と場所が合わず、残念ながら写真は撮れなかった。しかし、今でも目の奥に焼き付いている。

 

早池峰山へ向かう。途中で、コンビニでお昼ご飯用に、おにぎりと納豆巻とコールスローサラダを買い、水やポカリスエットも買い足した。朝のスタートが遅くて、予定よりも遅くなってしまった。

早池峰山へ向かう道もとても気持ちの良い道である。

 

早池峰山の登山口に一番近い駐車場は、河原の坊駐車場である。そこへ向かう道はいっそう細くなった。きれいに舗装されていて凹凸も全くない快適な道路だった。

 

駐車場で、着替えたりしていたら、またまた時間がかかってしまった。

もう山から降りてきて帰る人たちがたくさんいる。僕は最後かもしれない。

花巻市内は11時時点で31℃を越えていたが、河原の坊駐車場では11時半に21℃だった。曇って来たし、山は見えないし、霧も出ているようだ。ここは関東ではなく、東北の山であるので、雨具上下に加えて、ウールの上着も持って行く。

11時30分出発。ちょっと遅くなったが、何とか行けるだろう。

最初は舗装道路で小田越登山口まで歩く、これがずっと上り坂で延々と続くのだ。

 

しばらく行くと、何やら視線を感じる。熊も出るらしい。周囲を警戒していると、そこには・・・ややや

 

鹿さんである。こちらを見ている。人を見慣れている風である。

 

小田越登山口に到着。河原の坊駐車場から約2.1kmでコースタイムでは45分。標高差は210mくらいだ。

この距離と高低差は、東京の高尾山のふもとのケーブルカーの駅(清滝駅)から、展望台駅まで1号路で歩いたのとちょうど同じくらいなのだ。

ウォーミングアップとしては、十分である。

ここにはトイレがあるけれど、ここから先、山に入るともうトイレはない。携帯トイレを500円で売っている。

早池峰山では、高山植物とその周囲の環境が手厚く保護されている。早池峰山だけにしかない固有種も多い。そのため登山者は登山道から外れてはならず、何かを持ち込んでも持ち去ってもいけない。

樹林帯を抜けるちょっと前に小さな一人用テントがあって、携帯トイレ専用のトイレとなっていた。山頂には立派な避難小屋があり、トイレも3個あるけれども、それらは全て携帯トイレ専用となっていた。

環境保護が優先事項となっているのだ。

 

岩が多い。ガスが出ていて、50mより先は良く見えない。ここまでは木が生えている。

森林限界が早い(低い)。

岩の間に本当に小さな花が咲いている。寒くて強風の中で花を付けているのがいじらしい。

 

こちらの花も直径5mmくらいである。

 

晴れないかなあ。雲は厚いけれど、この山の表面にだけぴったり張り付いている感じだ。

 

おお、この花は「ナンブトウウチソウ」と言って、早池峰山の固有種である。開花の時期は8月から9月。

 

これは何だか分からないが・・・

 

アザミの一種。

 

風が強い。五合目あたりの風の様子。

五合目でお昼ご飯。おにぎりを一個。外国人観光者に一番人気のおにぎりがツナマヨであるそうなので、初めて買ってみた。

ただ、トイレに簡単に行けないことを思うと、たくさん食べる気にならなくて、それほど空腹なわけでもないので、おにぎりと一緒に買って来た納豆巻とコールスローは食べるのを辞めた。必要なカロリーはおなかにたっぷり付いているのだ。ラクダのような簡単にエネルギーに変えられないのが玉に瑕だけど。別にお腹は空かないので十分である。

(納豆巻とコールスローは小田越登山口に降りてから、河原の坊駐車場へ歩く道々食べました。)

 

五合目の標識。

このあたりで、山頂方向から降りてきた人が、話しかけてきた。山域のパトロールの人らしいのだが、「熊が出た話はもう聞きましたか?」と言う。

「えっ、聞いてないです」と動揺する。
「小熊が山に出て、降りて行きました」

大丈夫なのかと心配になったが、降りて行ったので大丈夫だということらしい。

 

風が強い。本当に強い。帽子が変形している。霧と強風。またしても宮沢賢治を思い出す。

 

霧、霧。山登りの人はガスという。雲の中ということだ。

気温が低いせいかあまりべたっとしない。

 

この夏に買った、お帽子。メガネは大田区上池台にユニクロがあった頃に買った、色の付いていないサングラス。

 

ちょっと雲が薄くなった。空が少し見える。

 

これから、山頂まで急登を進む。はしごも出てきた。大変なところは写真がない。上を見る。山頂は見えない。

 

山頂の近くは風が弱かった。降りてきた人からもそう聞いていたが確かにそうだった。

これが山頂。ガス、ガス。

 

山頂に到着。

 

山頂から、ぐるり周囲を見回してみる。

晴れているとこんな感じであるらしい。NHK-BSの日本百名山の早池峰山の回から。

 

ふたたび五合目まで下りてきた。風が強い感じを表現したいので、堺雅人の顔真似をしてみた。

 

ほんの一瞬だけ、ちょっと雲が引いた。一瞬だけだった。

 

岩も見える。「グスコーブドリの伝記」を連想する。火山は岩手山のことだろうと思われるのだが、どこを歩いていてもなぜか宮沢賢治を感じる。そういうことってあまりない。

早池峰山が神様の山であるからかもしれない。

 

麓に降りてきた。白樺の林がある。

白樺の木は、樹皮が自然にくりくりとめくれてしまうのだけれど、白樺本人はどう思っているのだろうか。あれは嫌なのか、気持ち良いのか、歩きながらずっと考えてみたけれど、分からなかった。

 

宮沢賢治の詩碑がある。

 

イーハトーブではなくて、イーハトーボとなっている。

中学1年生の時の語学勉強ノートを見ていたら、前半がドイツ語で、後半がエスペラント語だった。エスペラント語には語尾の活用は無かったと思うのだが、また今度調べてみよう。

 

ここは河原の坊駐車場からすぐ近くのところ。

 

花巻へ向かう。山が深い。本当にきれいな世界である。

 

早池峰山の周辺は美しい。のみならず、東北は美しい。

 

花巻駅近くのホテルグランシェール花巻に到着。今日はここに宿泊する。温泉旅館を別とすれば、花巻市最高グレードのホテルの一つと言っても良いであろう。にもかかわらずリーズナブルなのである。

 

1階に宮沢賢治探検隊本部がある。宮沢賢治の基礎知識や花巻における関連などを知ることができる。

 

この日は、夕ご飯難民になってしまった。夜8時に周囲を歩いたが食べ物屋はみな閉店していて、唯一魚民だけが開いていた。魚民に入る気にならずコンビニでサンドイッチを買って食べた。

このくらいで十分なんだな。おいしかったのでOK。

そして今日も眠る。

 

3日目~花巻と宮沢賢治

花巻市はひっそりとした静かな町で、およそ喧噪とは縁のないところである。

ホテルの朝。左奥が早池峰山方向である。やはり早池峰山は雲が多い。

 

朝ごはんのビュッフェ。窓の外は駅前で、通勤している人が駅に向かって歩いていくのがちらほらと見える。

 

今日はこんな感じ。昨日とちょっと似てるかも。

 

ホテルをあげて、宮沢賢治推しであるので、いたるところ宮沢賢治である。

ここにも。

 

すぐ近くに宮沢賢治の生家の跡がある。このボンボリはいつもはついていなくて、昨日町のお祭りだったので各家・各店に飾ってあったものだ。

そのお祭りのせいで、頼みのお店が2件とも早じまいしてしまったので、夕ご飯難民になってしまい、コンビニで買って食べることになったのだった。

 

宮沢賢治記念館へ Go !

 

岩手県は全域がイーハトーブであるというように書かれている。

 

宮沢賢治の弾いていたチェロ。鈴木バイオリンである。知らなかったのだけれど、結構一所懸命練習をしていたようだ。

 

庭からの眺め。

 

再び早池峰山に向けて走る。

 

道路を走るだけで楽しい。

 

「早池峰と賢治の展示館」にやってきた。ここはとても良い。

 

特に説明はしないけれど、とっても「濃い」感じだった。宮沢賢治が濃いのである。しかも、ここは入場無料である。

花巻市の大迫町(おおはさままち)にあり、「おおさこ」ではなくてカナを振ってもらわないと読めない。「おおはさままち」の人には当り前であるせいか、どこにもカナを振ってないのでなかなか読めなかった。

 

1階の第一展示室。

 

階段。

 

教室の雰囲気。

 

「注文の多い料理店」と「春の修羅」の初版本がガラスケースの中に展示されている。じゅるじゅるじゅる。

 

遠野に向けて移動する。

遠野と言えば、柳田国男の遠野物語だ。遠野物語は「遠野の町は南北の川の落合にあり」と始まる。

途中、遠野ふるさと館というのがあり、観光施設ではあるが、寄っていくことにした。中はこんな感じで、江戸末期の村の風景を再現したものだそうだ。

 

かかしが立っていて、畑もそれっぽい。畑を維持するために、近所のボランティアの支援を受けているという。

 

庄屋の家。

 

因縁がよく分からないが、男根のイコンが祀られている。

 

昼ご飯。住田町へ来た。

蔵と古民家があり、この中に古民家を再生した、レストランがあった。

 

広々とした店内。

 

昔の家は庭や空に向けて開放的なところがとても好きだ。

メニューは省略。あとで追記するかも。

 

復興道路という名の高速道路があって、岩手よりずっと北から仙台まで300km以上もある。無料の高速道路なので使い勝手は良い。大変にありがたい道路ではあるのだが、走ると路面が結構でこぼこで走り心地が良くない。国費で一気に作ったけれども、道路のメンテナンスは考えられていないようであった。道路は放っておくとデコボコになってしまうのだな。

 

さあ、一気に東京へ帰る。鉄塔が美しい。雲もいい感じ。

 

縦一文字の虹が見える。

 

夕焼けの中を進む。

 

那須高原SAで夕ご飯を食べる。

 

三陸産カキフライを食べる。

 

こうして2泊3日の早池峰山登山と花巻観光の旅が終わった。東北に500km走るのは、関西に500km走るよりずっと楽だ。車が少ないし人が少ない。月に1回くらい往復してもあまり苦にはならないだろうと思う。